音無響子の色気を語るうえで外せないのが、その年齢設定とバックボーンの妙です。物語開始時点で彼女はわずか21〜22歳前後。世間一般では大学を卒業するかしないかという若さでありながら、最愛の夫・惣一郎と死別した「若き未亡人」という複雑な境遇を背負っていました。
未亡人という言葉が持つどこか影のある大人の色香と、実年齢相応の世間知らずで純真な一面。このギャップこそが、響子さんの放つエロティシズムの根源です。住人の五代裕作をはじめとする一刻館の面々に囲まれ、時に怒り、時に照れ、エプロン越しに見せる無自覚なフェロモンは、単なる露出度の高さだけでは決して生み出せない深みを持っています。
高橋留美子氏の卓越したペンタッチによって描かれる、繊細な黒髪のなびきや潤んだ瞳、少し乱れた寝起き姿や部屋着のパジャマ姿などは、男性読者の妄想をかきたてる絶妙なリアリティに満ちていました。