静岡県のほぼ中央を縦断する大井川。その最大の財産は、何十年もの歳月をかけて地層深くで磨かれた南アルプスの清冽な雪解け水にある。流域に広がる養殖池には、ミネラルをたっぷりと含んだ地下水が絶え間なく汲み上げられている。
仕入れたニホンウナギを数日間にわたって冷たい井戸水で泳がせる「泥抜き」の工程は、仕上がりの味を左右する決定的な瞬間だ。余分な脂と雑味が削ぎ落とされ、身の繊維がきめ細かく引き締まる。日本屈指の規模を誇る水産養殖業の知恵が、泥臭さとは無縁の、どこまでも澄んだ旨味を生み出す土台となっている。