日本のリビングルームからチャンネル争いが消えて久しい。代わりに起きているのは、ホーム画面の第一階層をめぐる壮絶な陣取り合戦だ。定額制動画配信の普及は、視聴者の鑑賞スタイルを「受動」から「能動」へと不可逆的に変えた。見たい時に、見たい場所で、広告に遮られることなく極上のエンターテインメントに没入する。この快感を一度知ったユーザーが過去の視聴環境に戻ることはない。
かつては通信インフラの補助的な位置づけに過ぎなかったOTTサービスは、いまやデジタルコンテンツ産業の中枢神経となった。通信キャリアのバンドル戦略やスマートテレビのリモコンに配置された専用ボタンの争奪戦は、そのまま各社の生命線を左右する。視聴者の可処分時間は有限だ。月に支払うサブスクリプション料金の枠も限られている。だからこそ、各社はユーザーを囲い込むための独自エコシステムの構築に狂奔している。