パイプオルガンの直下、舞台の背後に位置する「P席(ステージリア席)」は、通常の客席とは一線を画す特別な視界を提供する。ここでは客席に向かって立つ指揮者の表情や細かなタクトさばき、さらには演奏者同士の視線の交わし合いまでもが筒抜けになる。
音の聞こえ方も独特だ。金管楽器やティンパニが目と鼻の先で鳴り響き、まるで自分がオーケストラの一員になったかのような錯覚に陥る。バランス良く調和された音を聴くというよりは、生の音圧と熱気の中に飛び込む体験に近い。一度この視界の虜になると、P席ばかりを指名買いするリピーターが出るのも頷ける。