主人公・神野桜子を演じた松嶋菜々子の圧倒的な存在感と気品は、まさにハマリ役という言葉以外に見当たらない。強欲でありながらどこか憎めない、可憐で強靭なヒロイン像を見事に体現してみせた。対する堤真一も、不器用で愚直、けれど深い優しさを持つ中原欧介を味わい深く演じ切り、奇跡のキャスティングとして絶賛を集めた。
この重厚かつテンポの良いストーリーを生み出したのは、稀代の脚本家・中園ミホだ。人間の業や欲望を隠すことなく描きつつ、コメディとシリアスを絶妙に交錯させる手腕は実に見事だった。「女の幸せは金の額」と言い切る過激な価値観から始まり、最後には普遍的な愛の価値へたどり着くドラマ構成は、現代の観客が観ても一切の古さを感じさせない。