脚本を手掛けた倉本聰は、登場人物のバックボーンや性格設定を徹底的に突き詰めることで知られる。雪子というキャラクターもまた、単なる「優しい叔母さん」にとどまらない複雑な愛憎と孤独を背負わされていた。
都会の恋愛に破れ、傷ついた心を抱えて北海道へやってきた雪子。彼女が放つふとした一言や視線の泳ぎには、倉本聰がシナリオに忍ばせた密かな人間観察の結晶が詰まっていた。セリフの間(ま)ひとつをとっても、演技者の直感任せではなく、その人物が歩んできた人生の重みが計算し尽くされている。竹下景子はその高度な要求に見事に応え、単なる悲劇のヒロインではなく、身勝手さや弱さも含めた生身の人間として雪子を泥臭く描き切った。