地域住民や子育て世帯に惜しまれつつ幕を閉じたベビーザらス錦糸町店ですが、その撤退の背景には単なる売上の増減にとどまらない、商業動線と業界再編の二重の構造変化が存在していました。
第一の要因として挙げられるのが、錦糸町駅を挟んだ競合環境の激化です。錦糸町駅北口の目の前に位置する「アルカキット錦糸町」には、国内最大級の売り場面積を誇る「アカチャンホンポ アルカキット錦糸町店」が君臨しています。駅改札から徒歩1分という圧倒的なアクセス性を誇るアカチャンホンポに対し、オリナス錦糸町は北口から徒歩約5分・錦糸公園を抜けた立地にあります。ベビーカーを押して移動する乳幼児連れのファミリー層や、妊娠後期のプレママにとって、この「駅徒歩5分の距離差」と信号待ちの心理的ハードルは、店舗選びにおいて決定的な影響を与えました。
第二に、運営元である日本トイザらスによる国内出店戦略の抜本的見直しです。同社は近年、郊外型ロードサイドの超大型店舗から、ショッピングモール内の効率化店舗、さらにはEC(Eコマース)との統合を図るオムニチャネル戦略へと舵を切りました。商業施設側との定期借家契約の満了タイミングと、全国的な不採算・重複エリアのスクラップ&ビルド方針が合致したことが、錦糸町店クローズの直接的な引き金となりました。