美術館のガラス越しに鑑賞する高尚な美術品ではなく、朝の光が差し込むリビングやダイニングの壁にそっと寄り添う絵。それこそが、画家・山口一郎氏の真骨頂です。香川県を拠点に精力的な創作活動を続ける山口氏は、セツ・モードセミナーを卒業後、イラストレーター・画家としてキャリアを確立。広告やパッケージデザインなど商業アートの第一線で活躍しつつ、個人の創作絵画でも独自の立ち位置を築いてきました。
山口氏の作品がこれほどまでにインテリアファンの間で爆発的な支持を集めた決定的なきっかけは、ライフスタイルブランド「IDEE(イデー)」での展示会や定期的なアートポスターのリリースです。無垢材のダイニングテーブル、ハンス・J・ウェグナーのYチェア、モルタル調のモダンな壁面――こうした現代の洗練された住空間において、山口氏の描く「潔いモノトーンの筆致」と「有機的なフォルム」は、空間の緊張感を適度にほぐす最高のアクセントとして機能します。
アートコレクターにとどまらず、住まいを愛する30代から50代の幅広い層が彼の絵を求める背景には、「アートを買う」という行為への心理的ハードルを劇的に下げながら、確かな作家性と上質な日常を提供してくれる点にあります。