創作現場で混同されやすい概念に「トレス」「模写」「パクリ(盗作)」の3つがある。これらを正しく切り分けることが、トラブルを防ぐ最初のステップだ。
模写とは、手本となる対象を目で見ながら自分の手でキャンバスに描き起こす行為を指す。線のブレやデッサンの狂いが描き手自身の癖として現れるため、技術の習得に直結する。一方、トレスは対象を物理的あるいはデジタル的に「透過して直接輪郭をなぞる」作業であり、下絵との一致率が極めて高くなるのが特徴だ。
問題は「パクリ」と呼ばれる領域だ。他人のアイデア、構図、独自の演出などを盗用して自身のオリジナルとして発表する行為全般を指すが、法的な著作権侵害にあたるかどうかは感情論とは別の基準で裁かれる。侵害と認定されるための最大の鍵は「依拠性(既存の作品をもとにして描いたか)」と「類似性(既存の作品の創作的表現と同一・類似しているか)」の2点に尽きる。単にポーズが似ているだけでは違法とは言い切れないが、他人の著作物の輪郭線をそのままトレースして商用利用や無断公開を行えば、即座に法的なレッドカードが提示される。