物理的な上陸が不可能な現在、一般人が北センチネル島の現況を知る唯一の手段が高解像度の衛星写真やグーグルアース(Google Earth)です。座標「北緯11度33分、東経92度14分」を入力すると、エメラルドグリーンの珊瑚礁に囲まれた正方形に近い濃緑の島がモニター上に浮かび上がります。
衛星画像を拡大すると、島の北西部を囲む環礁の上に、巨大な人工物の残骸がくっきりと確認できます。これは1981年8月に座礁した香港の貨物船「プライムローズ号(MV Primrose)」の残骸です。当時、暴風雨で座礁した乗組員約30名は、弓矢と槍を持って砂浜に集結したセンチネル族を目撃し、無線で「野生の男たちが武器を持って船を作っている、助けてくれ」と緊迫した救助要請を発信しました。幸いにも波が高く部族が船に乗り移る前に全員がヘリコプターで救助されました。
その後、残されたプライムローズ号からセンチネル族が金属片を回収し、矢じりや槍の先端を鉄製に加工する技術を獲得したことが人類学者の調査で判明しています。グーグルアースの衛星写真に写る赤茶色に錆びた船体は、孤立した部族が近代文明の遺物と遭遇した決定的な痕跡を今に伝えています。