諸寄海岸を語る上で欠かせないのが、波打ち際のすぐそばでテントを張れる「諸寄キャンプ場」の存在です。近年、全国的なキャンプブームに伴い海岸利用のマナーや環境負荷が社会問題化していますが、諸寄における運用のリアルはどうなっているのでしょうか。
まず押さえておくべき核心は、事前予約制の大規模高規格オートキャンプ場ではないという点です。現地の松林や砂浜後背地の広場は、長年にわたり地元自治会や管理団体の協力によって解放されているフリースペースに近い形態をとっています。2026年現在も「数ヶ月前からオンラインで区画指定予約する」システムではなく、現地到着時の受付、またはシーズン中の清掃協力金(テント1張あたり概ね1,000円〜2,000円程度)の支払いによって利用するスタイルが基本となっています。
次に、トラブルの引き金となりやすいバーベキュー可否の実態です。ネット上の一部情報では「全面禁止」あるいは「どこでも自由に可能」といった極端な言説が散見されますが、新温泉町および現地管理組織のガイドラインは極めて明瞭です。
原則として「直火(地面で直接薪や炭を燃やす行為)は完全禁止」であり、必ず脚付きのバーベキューコンロや焚き火台、難燃シートを使用しなければなりません。さらに最も重要な義務が「燃え残った炭・灰を含めたすべてのゴミの完全持ち帰り」です。美しい景観と引き換えにゴミ収集所は設置されておらず、浜辺に炭を埋めて帰るような行為は厳しく戒められています。現場の巡回指導員からも「マナー違反が続けば、海岸での火気使用やキャンプ自体を全面禁止にせざるを得なくなる」との懸念が寄せられており、利用者の高いモラルがこの自由な環境を支えている現実を忘れてはなりません。