ネット空間で幾度となく耳にする「なんJ民とは」、巨大電子掲示板群「5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)」に設置された「なんでも実況J(Jupiter)板」を出入りしていたネットユーザーの総称です。現在でこそプロ野球の試合実況や時事ネタのブラックジョークを連投する集団として定着していますが、その成立初期の姿は全く異なるものでした。
開設当初のなんでも実況J板は、利用者が1日数十人にも満たない「超過疎板」でした。当時の住人は「なんJ 原住民」と呼ばれ、アニメ実況の避難所として利用したり、独自の架空マスコットキャラクター「きうり」を愛でたりしながら、牧歌的で穏やかな空気の中で細々と交流を続けていました。
その静寂を打ち破り、掲示板の歴史を根底から覆したのが2009年5月13日に発生した「野球ch(野球実況板)強制規制事件」です。当時の野球chはプロ野球シーズンの過密な書き込みによってサーバー負荷が限界に達し、管理サイドによって厳しい書き込み規制が敷かれました。実況の場を瞬時に奪われた数十万人の野球難民たちが目をつけたのが、制限が緩くサーバー容量に余裕のあった未開拓の地、なんでも実況Jだったのです。
「なんJ 野球ch 移住」と呼ばれるこの現象は、事実上の板の占拠でした。怒涛の勢いで押し寄せた野球ファンたちは、先住していた原住民の文化を瞬く間に飲み込み、掲示板は一晩にして日本屈指のトラフィックを叩き出す「プロ野球実況&雑談板」へと変貌を遂げました。この移住劇と先住文化の淘汰こそが、荒々しくも独特な一体感を持つ「なんJ 歴史 経緯 まとめ」における最大の転換点と記録されています。