静岡浅間神社を語る上で欠かせない最大の核が、境内にある七つの独立した神社を順に巡る「七社参り(ななしゃまいり)」です。古くから「おせんげんさんの七社をお参りすれば、あらゆる願いが叶う(満願成就)」と伝えられており、境内を反時計回りに巡ることで、現世利益から霊的浄化までが網羅される設計となっています。
七社のそれぞれの祭神と、授かることができる具体的なご利益の構造は以下の通りです。
1. 神部神社(かんべじんじゃ)
主祭神は大己貴命(大国主命)。約2100年前に鎮座した駿河国最古の神社であり、延喜式内社です。出雲の国造りの神であることから、縁結び・商売繁盛・延命長寿のご利益を授けます。隣り合う浅間神社と一つの巨大な二重屋根に収まる「大拝殿」は高さ約25メートルを誇り、木造建築として日本有数の威容を誇ります。
2. 浅間神社(あさまじんじゃ)
主祭神は木花之佐久夜毘売命。富士山本宮浅間大社より勧請された美と生命の女神であり、安産・子授け・火難消除・家庭円満を司ります。神部神社と浅間神社を併せて参拝することで、陰陽のバランスが整うとされています。
3. 大歳御祖神社(おおとしみおやじんじゃ)
主祭神は大歳御祖命(神大市比売命)。古代安倍の市の守護神として約1700年前に祀られた歴史を持ちます。現代における産業振興・起業成功・金運招福を司る神であり、静岡の商工業関係者から絶大な信奉を集めています。
4. 八千戈神社(やちほこじんじゃ)
主祭神は八千戈命(大国主命の武神としての御名)。明治初期の廃仏毀釈の際、旧徳川家菩提寺の念仏堂から転換され、周辺の18社13柱が合祭された特異な経歴を持ちます。金箔と黒漆が美しく映える社殿は、開運必勝・武運長久・スポーツ勝利の祈願所として知られ、受験生やアスリートが絶え間なく訪れます。
5. 麓山神社(はやまじんじゃ)
賎機山を登る「百段階段」の頂上に鎮座する社で、大山祇命を祀ります。かつて賎機山山頂に鎮座していた本質的な地主神であり、家内安全・衣食住の加護・山林安全を守護します。階段を一段ずつ踏みしめて登ること自体が禊(みそぎ)の修行とみなされています。
6. 少彦名神社(すくなひこなじんじゃ)
主祭神は少彦名命。医薬・温泉・酒造を司る神であり、病気平癒・心身健康・身体健全のご利益があります。社殿に施された十二支の精巧な彫刻や薬草の意匠は美術的にも必見です。
7. 玉鉾神社(たまほこじんじゃ)
祭神は国学の四大人(荷田春満、賀茂真淵、本居宣長、平田篤胤)。学問の神として学業成就・試験合格・研究開発の進展を後押しします。
授与所では専用の「七社参り御朱印帳」や「七社巡りお札札」が頒布されており、各社を巡りながら自分自身の内面と向き合い、祈りを積み重ねていく体験は、現代のメンタルヘルスやマインドフルネスの観点からも極めて高い自己受容効果をもたらします。