傑作と称されながらも、『神話少女』が新刊書店から姿を消し、手に入れることが極めて困難になった背景には、日本の法制度と出版倫理の抜本的なパラダイムシフトが存在します。
最大の転換点は、発売から約2年後の1999年に施行された「児童買春・児童ポルノ禁止法」です。この法律の制定に伴い、出版界では未成年者を被写体とした過激なグラビアや児童ヌード写真集の回収・絶版が相次ぎました。『神話少女』自体は芸術表現としての意図が明白であり、直接的な猥褻物を目的としたものではありませんでしたが、版元である新潮社は社会的な要請と企業のコンプライアンス方針を鑑み、増刷を停止。市場在庫の回収を進めたことで、事実上の絶版扱いとなりました。
この「突然の市場からの消失」が、皮肉にも作品の希少価値を跳ね上がらせる結果を生み出しました。古書市場における取引価格の推移と、関連する派生作品のステータスを整理した客観的データは以下の通りです。
2014年の児童ポルノ禁止法改正による「単純所持規制」の施行以降、こうした歴史的写真集の取り扱いは一段と厳格化しました。美術的価値を有する印刷物として古書店での売買自体は法的に認められているものの、オークションプラットフォームでは出品規約の改定により削除対象となるケースが増加しています。神保町の専門古書店や信頼できるヴィンテージ写真集ディーラーの店頭でのみ、極めて慎重に現物が取引されているのが2026年現在の実態です。