「デリカD:5ならシートアレンジが多彩だから、マットさえ敷けば簡単に寝泊まりできる」という思い込みこそが、購入後に後悔を招く最大の落とし穴です。納車後に車中泊へ出かけたオーナーが直面する最大の壁は、シートバックの激しい凹凸と傾斜にあります。一般的なミニバンのシートは走行中の乗員のホールド性を高めるため、座面と背もたれに立体的なウレタン成型が施されています。これを倒しても完全な水平面にはならず、腰や肩甲骨付近に強い局所圧力がかかり続けます。
現場検証でも明らかになっているのが、「積載スペースの消失」という致命的なジレンマです。シートの上に直接就寝スペースを作ると、これまでラゲッジや足元に積んでいたキャンプ道具、クーラーボックス、着替えといった大量の手荷物を運転席や助手席へ追いやるか、車外へ退避させなければなりません。悪天候時の移動や夜間の就寝準備において、この荷物大移動は極めて大きなストレスを生みます。
さらに見落とされがちなのが、乗車定員ごとのフレーム干渉問題です。デリカD:5には独立したキャプテンシートを備える7人乗りと、チップアップスライド機構を持つ8人乗りが存在します。これらはフロア形状やシート幅、スライドレール位置が根本から異なるため、デリカD5 7人乗りベッドキットとデリカD5 8人乗りベッドキットではフレームの固定位置や支柱設計が別設計になっています。中古市場やフリマアプリで「デリカ用」という大雑把な表記を信じて購入し、手持ちの車両に取り付けられず泣き寝入りするトラブルが多発しています。