呼吸器の慢性症状で最も混同されやすいのが、「慢性気管支炎」「COPD」「咳喘息」の3者です。医療機関を受診する際、これらの鑑別が正確に行われなければ、処方される薬剤の効果が得られないばかりか、病勢を悪化させることにもなりかねません。それぞれの臨床的特徴と鑑別ポイントを以下の比較表に整理しました。
現代の呼吸器診療において、慢性気管支炎とCOPDの違いは「包括関係」として整理されています。かつては肺胞が破壊される「肺気腫」と、気道病変が主体の「慢性気管支炎」が個別に論じられていましたが、現在ではこれらが複合して気流制限を引き起こす包括的疾患群として「COPD」と総称されます。つまり、慢性気管支炎はCOPDの重要な一表現型(フェノタイプ)であり、スパイロメトリー検査で明らかな閉塞性換気障害が確認されれば正式にCOPDと診断されます。
一方、咳喘息の見分け方としては、「痰の有無」と「咳が出る時間帯」が最大の鑑別点です。咳喘息は基本的に痰が絡まない「乾性咳嗽」であり、深夜から明け方にかけて冷たい空気を吸い込んだ際に激しく発作性の咳が出ます。これに対して慢性気管支炎は、起床時や日中を通して「ゴホゴホ」と湿った音を立てる「湿性咳嗽」が主体であり、気道分泌物が絶えず気道を塞いでいる点に本質的な違いがあります。