受傷後、自力での歩行が可能である場合、どの段階で医療機関を受診すべきなのでしょうか。専門医が提示する整形外科受診の目安として、以下の「危険兆候(レッドフラッグ)」のうち1つでも該当する場合は、速やかな受診が必要です。
第一に、指の見た目が健側と異なり、明らかに曲がっている、または指同士が交差している場合です。第二に、足の裏側にまで広がる紫色の内出血が確認できる場合。第三に、就寝時に拍動性の強い痛みで目が覚める、あるいは受傷後72時間を経過しても腫れの勢いが衰えない場合です。また、骨折部が開いた傷口と交通している「開放骨折」の兆候や、指先の感覚が鈍く冷たく感じられる神経・血流障害の疑いがある場合は、骨髄炎や組織壊死を防ぐための緊急処置が必要となります。
受診先として選ぶべきは、整骨院や接骨院ではなく、必ず確定診断を下せる設備を備えた「整形外科クリニック」または「総合病院の整形外科」です。整骨院では骨折の疑いに対して応急的な処置は可能ですが、X線診断装置を用いた画像検査や投薬、法的な確定診断を行うことは医師法により認められていません。
ただし、ここで知っておくべき医療の盲点が存在します。それが足指骨折レントゲン検査における「受傷初期の見逃し」のリスクです。足の指、特に末節骨や基節骨に生じた微細な亀裂(ヒビ)や不全骨折は、受傷当日のレントゲン写真では骨折線が鮮明に写らないケースが珍しくありません。レントゲンは影絵のような2次元透過像であるため、骨折部が重なり合っていたり、骨片の離解がわずかであったりすると「骨に明らかな異常はありません」と診断されてしまうことがあります。
しかし、骨折部では破綻した骨を修復するために受傷後1〜2週間ほどで古い骨の吸収が起こり、その後に「仮骨(かこつ)」と呼ばれる新しい骨が形成されます。この過程で骨折線の隙間が明瞭化するため、受傷後10日前後に再度レントゲンを撮影することで、初めて骨折が確定診断されるケースが多々あるのです。一度「異常なし」と言われた場合でも、痛みが数週間にわたって引かない場合は、必ず再度の画像評価を受ける必要があります。