譲渡をめぐる最大の論点のひとつが、「無償譲渡における医療費の請求は法的にどこまで認められるのか」という問題です。ネット上では「1円でもお金を取ったら違法販売だ」という極端な意見と、「かかった費用ならいくら請求しても問題ない」という誤解が入り乱れています。
現行の動物愛護管理法において、営利を目的としない個人や愛護団体が、実際に支出した医療費(ワクチン接種費用、マイクロチップ装着費、不妊手術費等)の実費を譲受人に請求することは適法と解釈されています。ただし、それには極めて重要な条件が存在します。
適法となる境界線は、「動物病院が発行した正式な領収書や診療明細書が存在し、その金額と同額であること」です。ワクチン代として実費が6,000円であるにもかかわらず「一律2万円」と請求したり、明細書を開示しなかったりする場合、それは実質的な生体代金(営利目的の販売)とみなされ、無登録の第一種動物取扱業に抵触する恐れがあります。
また、「雑種の子犬だから丈夫で医療費がかからない」という思い込みも危険な盲点です。親犬の遺伝的背景が不明な雑種犬は、成犬時に体重が何キロまで成長するかの予測が難しく、10kg程度を想定していた子犬が25kg以上の大型犬に成長し、室内飼育が破綻するケースが熊本県内でも報告されています。