ヴィンテージTシャツの査定額が跳ね上がった結果、悪質なブートレグ(海賊版)やタグの移植、巧みなリプリントが市場に紛れ込む事例が後を絶ちません。フルーツオブザルームの偽物見分け方において、素人が見落としがちな3つの盲点を明かします。
第1の盲点は、「タグの縫い糸(ステッチ)の不自然さ」です。価値の低い無地の90年代フルーツオブザルームからタグだけを丁寧に取り外し、近年に作られた偽物の高額バンドTシャツへ後付けで縫い付ける「タグ移植」の手口が存在します。首元のリブ裏を確認した際、リブを一周している本来のステッチラインと、タグを留めている縫い糸の色・太さ・ピッチ(間隔)が明らかに異なっている個体は、移植を疑う必要があります。正規のオリジナル品は、首リブの縫製工程と同時にタグが一筆書きのように縫い込まれているため、後から縫い直したような段差や重複した針穴は現れません。
第2の盲点は、「タグの劣化度合いとボディの経年劣化のギャップ」です。ボディの生地が激しくフェード(色褪せ)し、首リブがヨレてプリントに無数のクラック(ひび割れ)が入っているにもかかわらず、首元のタグだけが真っ白で文字の擦れも一切ない個体は警戒してください。タグの不織布やサテン生地は、洗濯や着用によってボディと同等かそれ以上の速度で毛羽立ち、文字の薄れ、角の丸まりが生じます。ボディのヴィンテージ加工技術がどれほど進化しても、長年の洗濯摩擦を経たタグの繊維破壊までは完璧に再現できません。
第3の盲点は、登録商標番号「RN(Registered Number)」の不整合です。フルーツオブザルームの純正タグには、米国連邦取引委員会(FTC)が発行した固有番号である「RN 13765」が必ず記載されています。偽物の中には、他社のRN番号をそのままコピーしていたり、フォントが不自然に潰れていたりするものがあります。RN番号の存在とタイポグラフィの精緻さを確認することは、偽造品を排除するための極めて有効な防壁となります。