「顔にできたポツポツの正体は一体何なのか?」――皮膚科クリニックを訪れる患者の多くが、最初にこの疑問を口にします。顔面は直射日光(紫外線)に常に晒され、ターンオーバーの乱れや摩擦ダメージが集中する部位です。臨床現場で頻繁に鑑別される代表的な7つの病態について、特徴的な外見と症状を対比しながら検証していきます。
第一に、30代後半から50代以降にかけて急増するのが脂漏性角化症(老人性色素斑からの移行型・老人性イボ)です。症例画像を見ると明らかなように、初期は薄茶色のシミのように始まりますが、徐々に皮膚表面が盛り上がり、褐色から黒色へと濃小化します。表面がカサカサ・ザラザラとした凹凸を持ち、触ると硬い「貼り付けたようなイボ」として確認されます。良性の老人性変化であり悪性化の懸念はほぼありませんが、自然消失することはなく、放置すると直径1cm以上に拡大することもあります。
第二に、目の周りや頬に現れやすいのが稗粒腫(はいりゅうしゅ・ひりゅうしゅ)です。見分け方としては、直径1〜2mm程度の極めて小さな白〜黄白色の硬い粒状であることが最大の特徴です。毛穴の奥や汗腺の出口に角質や皮脂が袋状に溜まったものであり、感染力はありません。触れるとコロンとした硬い手応えがあり、ニキビと誤認されがちですが、炎症を起こして赤くなることは稀です。
第三に、思春期以降の女性の目の下や額に左右対称性に多発しやすいのが汗管腫(かんかんしゅ)です。エクリン汗腺の導管が増殖して生じる平らな皮膚色の丘疹であり、特徴的な画像所見では、粟粒大から米粒大のわずかな盛り上がりが密集して網目状や融合した形態を呈します。夏場の発汗時にやや膨らみ、乾燥する冬場に平坦化して見えるという生体反応を示すケースも少なくありません。
第四に、若い世代の女性や男性の髭剃り部位に多発するのが青年性扁平疣贅(せいねんせいへんぺいゆうぜい)です。ヒトパピローマウイルス(HPV)3型や10型の感染によって生じるウイルス性イボであり、臨床写真ではわずか1〜3mm程度、皮膚色から淡紅色の「平らな盛り上がり」が額、頬、顎下に無数に散在します。最大の特徴は、引っ掻き傷やカミソリ負けのラインに沿って一直線にイボが並ぶ「ケブネル現象」を起こす点です。
第五はアクロコルドン(軟線維腫・スキンタッグ)で、瞼の縁や首周りに好発する柔らかい有茎性の良性腫瘍。第六は皮膚の小傷からHPV2型や4型が侵入して形成される尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)で、角化が極めて強く表面がカリフラワー状に白く硬化します。そして第七が、放置が生命に関わる皮膚悪性腫瘍(基底細胞癌や悪性黒色腫、日光角化症)です。黒褐色で境界が不明瞭、左右非対称で急激に大きくなる病変は、直ちにダーモスコピー検査を受ける必要があります。