一般家庭において最も頻発し、かつ医療現場の医師や訪問看護師を戦慄させているのが「ネット上の誤った民間療法」による重篤化です。特に危険視されている2大NG処置の真相を暴きます。
床ずれキズパワーパッド悪化の真相:密閉環境が生む細菌爆発
「湿潤療法(モイストヒーリング)で早くきれいに治る」という家庭用ハイドロコロイド絆創膏(キズパワーパッドなど)の認知が広がった結果、床ずれで皮がめくれた患部に貼ってしまう介護者が後を絶ちません。しかし、これが急速な組織壊死と敗血症を引き起こす引き金になります。
床ずれは、体圧によって血流が途絶え、皮膚の奥深く(皮下組織や筋肉層)まで組織が酸欠死している病態です。通常の切り傷やすり傷のように「表面だけが損傷し、血流が保たれている創傷」とは根本的に異なります。血流がない虚血組織にハイドロコロイド材を貼り付けて密閉すると、酸素を嫌う悪質な細菌(嫌気性菌や黄色ブドウ球菌など)が創面で爆発的に増殖します。さらに、超高齢者の脆弱な皮膚に高粘着のドレッシング材を貼ると、剥がす際に周囲の正常な皮膚までベリベリと巻き込んで剥ぎ取ってしまい、創面を数倍の大きさに広げてしまうのです。
床ずれステロイド使ってはいけない理由:免疫抑制による深部崩壊
赤みや炎症を見て「家に余っていたステロイド軟膏」を塗布する行為も極めて危険です。床ずれステロイド使ってはいけない理由は、ステロイドの強力な免疫抑制作用と創傷治癒遅延作用にあります。
ステロイドは一時的に赤みを抑えるように見えますが、局所の免疫細胞の働きを停止させるため、潜在する細菌感染を一気に悪化させます。さらに、長期連用だけでなく短期間の使用であっても、コラーゲン産生を抑制して皮膚の菲薄化を急速に進行させます。結果として、皮膚の耐久力が奪われ、わずかな圧力で骨に達する深いポケット(空洞)を形成する大惨事へと直結します。