医療情報が溢れる現代のインターネット空間には、患者の受診行動を遅らせてしまう危険な俗説が根強く存在します。皮膚科医が警鐘を鳴らす代表的な誤解を検証します。
誤解1:「痛くも痒くもないから、悪いものではない」
これが最も危険な思い込みです。メラノーマを含む初期の皮膚がんは、神経を侵食する深さに達するまで痛みを引き起こしません。「無症状であること」は安全性の証明には一切ならず、むしろ静かに進行する腫瘍の典型的な特徴です。
誤解2:「生まれつきある昔からのほくろだから100%安心」
先天性の巨大色素性母斑からがんが発生する確率は知られていますが、ごく一般的な小さな生まれつきのほくろであっても、長年の紫外線曝露や物理的刺激、遺伝子変異によって一部が悪性化する例が報告されています。また、「昔からあるほくろのすぐ隣」に新規のメラノーマが発生し、既存のほくろが大きくなったと錯覚するパターンも少なくありません。
誤解3:「市販のイボ取り薬や針で自分で取ってしまえばいい」
絶対に避けるべき行為です。万が一切除しようとした病変がメラノーマであった場合、中途半端な物理的刺激や薬剤塗布はがん細胞の血流・リンパ管への播種(ばしゅ=散らばること)を加速させ、予後を著しく悪化させます。いかなる皮膚の変色も、自己流の破壊的処置は厳禁です。