着物を広げた際、内側に挟み込まれている半透明の薄紙(当て紙・中紙)。ネット掲示板やSNSでは長年、「薄紙を残すべきか捨てるべきか」について議論が紛糾してきました。検索エンジンや知恵袋上でも「たとう紙の薄紙は捨てるべきかネットの反応」を調べると、「買ったままの状態で包んでおくのが丁寧」「大切な刺繍を守るために残している」といった一般ユーザーの意見が目立ちます。しかし、業界関係者への取材から浮かび上がった結論は極めて明快でした。
たとう紙の中の薄紙を外す真相は、「購入後の保管時には即座に抜き取って処分する」のが正しい手順です。そもそもこの薄紙は、呉服店から顧客の手元へ納品されるまでの輸送中、金銀箔や繊細な刺繍、生地同士が擦れて傷つかないように挟まれる一時的な「緩衝材」に過ぎません。
薄紙の多くにはパルプ原料や製造時の漂白剤・酸性薬品が残留しており、外側の和紙と比べて調湿機能がほとんどありません。それどころか、湿気を強力に抱え込んで逃がさない性質を持つため、長期間挟んだままにしておくと、薄紙と接している部分の生地だけが帯状に激しく黄変する「薄紙焼け」を引き起こします。輸送用の保護フィルムを剥がさずに家電を使い続けて熱をこもらせるのと同じ過ちであり、納品確認を終えた段階でためらわずに抜き取ることが、愛着ある着物を守るプロの鉄則です。