「住民票の原本」提出でなぜ混乱?写しが正解とされる意外な真相

「住民票の原本」提出でなぜ混乱?写しが正解とされる意外な真相

「住民票の原本」提出でなぜ混乱?写しが正解とされる意外な真相について重要なポイントを解説いたします。専門家の見解をお届けします。

「住民票の原本を提出してください」と言われた際、手渡すべき書類は、役所の窓口やマルチコピー機から発行された「住民票の写し」そのものです。この一見矛盾した名称の背景には、住民基本台帳法に基づく厳格な定義があります。

住民基本台帳法において、本来の「住民票」とは、各市区町村の首長が管内の住民一人ひとりについて住所、氏名、生年月日、性別などを記録・編成した公的な台帳そのものを指します。かつては役所のバインダーに綴じられた紙の帳票であり、現在では厳重なセキュリティで保護された自治体の基幹サーバー内のデジタルデータがこれに該当します。つまり、概念としての「真の原本」は市区町村役場から一歩も外に出ることはありません。

したがって、市民が窓口へ行き「住民票をください」と請求した際に交付されるのは、法律上、原本のデータを紙に書き写して公印を押印した「住民票の写し(謄本または抄本)」となります。提出先の企業や金融機関が「原本」と呼んでいるのは、この役所窓口発行あるいは正規の手続きで出力された「証明紙そのもの」を意味しており、日常用語の「オリジナル」と行政用語の「写し」が衝突することで、多くの国民に心理的混乱を生じさせています。

阿部 裕樹
著者

阿部 裕樹

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。