多くの人が改善に向けた行動を起こさない最大の要因は、足の小指 痛みなし 曲がってるという自覚症状の乏しさにあります。人間の痛覚は急性の炎症や皮膚の損傷に対して鋭敏に反応しますが、数ヶ月から数年という長い年月をかけて進行する骨格の変形に対しては、組織が徐々に適応し、神経受容器が鈍麻して痛みを感じにくくなる傾向があります。しかし、「痛くない=異常がない」という解釈はバイオメカニクスの観点から見て明白な誤謬です。
人間の直立歩行は、足裏の「親指の付け根(母趾球)」「小指の付け根(小趾球)」「踵(踵骨)」の3点を結ぶ3点支持トライアングルによって支えられています。三脚の脚が1本でも浮いて傾けばカメラが倒れてしまうのと同様に、小指が内側に曲がったり横倒しになったりすると、小趾球でしっかりと地面を蹴り出すことが不可能になります。この小指の接地不良が引き起こす代償動作こそが、全身へ悪影響を及ぼす決定的な引き金です。
小指で踏ん張りが利かなくなると、人間は無意識のうちに重心を足裏の外側へ預けるか、あるいは極端に内側へ倒し込む異常歩行パターンを選択します。足部の回内・回外が乱れると、その上部に位置する脛骨(すね)や大腿骨(太もも)が過度にねじれ、O脚やX脚の進行を招きます。さらにその負荷は股関節を伝わって骨盤を前傾・後傾させ、背骨の生理的S字カーブを消失させていきます。臨床データによれば、原因不明の慢性腰痛や坐骨神経痛に長年悩まされていた患者が、小指の接地機能を再教育しただけで劇的に症状が緩和したという報告は枚挙にいとまがありません。痛みがない初期段階こそ、不可逆的な骨変形へ移行する前に手を打つべきゴールデンタイムなのです。