日本国内で社会現象となる作品と、海外市場で突出した熱狂を生む作品の間には、時として大きな断絶が生じます。顕著な例が、ファミリー層や児童向けに絶大な支持を誇る『ドラえもん』や『名探偵コナン』、『サザエさん』といった国民的タイトルの欧米圏での受け止められ方です。これらは東アジアや東南アジアでは高い知名度を誇るものの、欧米市場においては「日常の文脈や文化的コードが高度に日本的すぎる」という壁に突き当たり、爆発的なメインストリーム化には至っていません。
対照的に、北米や南米、ヨーロッパで信じがたい熱狂を巻き起こしているのが、いわゆるダークファンタジーや心理サスペンスです。人間と怪物の境界線で苦悩する『東京喰種トーキョーグール』や、徹底した歴史考証と暴力の連鎖を描いた『ヴィンランド・サガ』、さらには『寄生獣 セイの格率』などは、国内における放送当時の熱量をはるかに凌駕するレベルで外国人絶賛神アニメとして崇められています。
現地のアニメアナリストが指摘するのは、海外オーディエンスが日本のアニメに求める「強烈なオルタナティブ性」です。ハリウッド映画や欧米製カートゥーンがコンプライアンスやポリティカル・コレクトネスへの配慮から無難な展開に終始しがちな中、容赦なく主要人物が命を落とし、倫理的なジレンマを突きつける日本のアニメーションは、知的刺激を欲する10代後半から30代の若年層に強烈なカタルシスを与えています。国内で「過激すぎる」「暗すぎる」と敬遠されがちな要素こそが、海外市場では唯一無二のキラーコンテンツへと変貌を遂げています。