定期テストや小テストで頻出する主要箇所の文法事項を網羅的に整理します。
最頻出箇所の品詞分解
1. 「ただ一度にいらへむも、待ちけるかともぞ思ふとて」
- ただ:副詞(たった、一度だけ)
- 一度:名詞
- に:格助詞
- いらへ:ハ行下二段動詞「いらふ(返事をする)」の未然形
- む:助動詞「む」の連体形(仮定・婉曲:「返事をするようなのも」)
- も:係助詞
- 待ち:タ行四段動詞「まつ」の連用形
- ける:過去の助動詞「けり」の連体形
- か:副助詞(疑問)
- と:格助詞(引用)
- も:係助詞
- ぞ:係助詞(強調)
- 思ふ:ハ行四段動詞「おもふ」の連体形(係り結び:ぞ+連体形)
- とて:接続助詞(〜と思って)
2. 「や、な起こしたてまつりそ」
- や:間投詞(これ、おい)
- な〜そ:呼応による禁止表現(〜してくれるな、〜するな)
- 起こし:サ行四段動詞「おこす」の連用形
- たてまつり:謙譲の補助動詞「たてまつる」の連用形(「起こし申し上げるな」)
児のそら寝 助動詞一覧
本文中に登場する重要助動詞の意味と活用形を一覧化しました。
- けり(ありけり、言ひける、待ちける、いらへたりければ):過去の助動詞「けり」。会話文以外は基本的に「過去」を表します。
- む(かいもちひせむ、し出ださむ、寝ざらむ、待ち居たらむ、驚かさむずらむ、候はむ、いらへむ、食はむ):文脈により「意志(〜しよう)」「仮定・婉曲(〜としたら、〜ような)」「推量」に分かれます。児や僧の意志を表すケースが大半です。
- ずらむ(驚かさむずらむ):現在推量の助動詞「らむ」の変形(んずらむ=む+ずらむ)。「きっと起こそうとしているのだろう」の意。
- に・けり(寝入り給ひにけり):「に」は完了の助動詞「ぬ」の連用形、「けり」は詠嘆の助動詞。「すっかり寝入ってしまわれたのだなあ」という僧の気づき・詠嘆を表します。
- たり(し出だしたる、寝たる、いらへたりければ):存続・完了の助動詞「たり」。「〜している」「〜した」。
係り結びの法則と呼応表現
本文のハイライトとなる文法規則は以下の2点です。
- 「もぞ〜連体形」の懸念構文
「待ちけるかともぞ思ふ」における「もぞ」は、好ましくない事態を心配する用法(「〜したら困る」「〜すると大変だ」)です。「ぞ」の結びとして動詞「思ふ」が終止形(思ふ)と同じ形ですが、文法上は連体形です。 - 「な……そ」の禁止表現
副詞「な」と終助詞「そ」が動詞の連用形を挟むことで、「決して〜するな」という柔らかい禁止を表します。本問では謙譲語「たてまつる」を伴って「お起こし申し上げてはならない」となります。
児のそら寝 重要古語まとめ
- 心寄せに(形動・ナリ活用):期待して、関心を寄せて。
- わろし(形・ク活用):よくない、感心しない、みっともない。(※「あし(悪い)」ほどではない不快感)
- よし(名詞):ふり、様子。「寝たるよしにて=寝たふりをして」。
- ひしめき合ふ(動・ハ行四段):大勢がざわざわと集まり騒ぐ。
- さだめて(副詞):きっと、必ず。(下に推量の表現を伴う)
- 驚かす(動・サ行四段):(他動詞)目を覚まさせる、起こす。(※自動詞「驚く」は「目を覚ます」)
- いらふ(動・ハ行下二段):返事をする、答える。
- 念ず(動・サ変):我慢する、祈る。本作では「じっと耐える」の意。
- あはれ・心苦し:気の毒だ、いたわしい。
- すべなくて(形・ク活用):どうしようもなくて、なすすべがなくて。
- 無期ののちに(名詞+格助詞):長い時間が経ったのちに。