インターネット上の掲示板やSNSでは、足の爪の凹凸に対して誤ったセルフケア情報が散見されます。その代表例が「爪やすり(バッファー)ででこぼこを平らに削ればきれいに治る」という言説です。
爪甲の厚さは平均して0.5〜0.8mm程度しかありません。横溝が生じている箇所は、爪母の機能低下によってすでに強度が著しく低下し、薄くなっています。その段差をなくそうと表面を削り取ると、爪のバリア機能は完全に破壊されます。薄くなった爪甲は外部からの衝撃に耐えられず割れやすくなるばかりか、乾燥を悪化させ、結果として爪が内側へ巻き込む「巻き爪(陥入爪)」や、真菌が侵入しやすい環境を自ら作り出す結果となります。
また、「カルシウムサプリメントを飲めば爪が強くなる」という俗説も科学的根拠を欠いています。前述の通り爪は骨ではなくケラチンタンパク質で構成されているため、摂取すべきはカルシウム単体ではなく、良質なタンパク質、亜鉛、ビタミンB群(特にビオチン)、鉄分です。表面を物理的に削ってごまかす行為は根本解決にならず、爪母の正常化を待つ以外に溝自体を消し去る術はありません。