自動車における「型式」とは、国土交通省が道路運送車両法に基づき、自動車の構造、装置、性能が保安基準に適合していることを認めた際に付与される公的な分類記号です。自動車メーカーが新型車を量産・販売するにあたり、1台ごとに国へ持ち込んで検査を受ける負担を省くため、同一仕様の車両群に対して一括で型式認定を受ける「型式指定制度」が基本となっています。
一般ユーザーの間で最も混同されやすいのが、「車種名」「型式」「車台番号」の3要素です。これらは自動車の識別において階層と目的が根本から異なります。
まず「車種」は、メーカーが宣伝や販売のために命名した商業上の通称名(ブランド名)に過ぎません。例えば「カローラ」という車種名の中には、セダン、ワゴン、ハッチバック、さらには排気量や駆動方式、ガソリン車かハイブリッド車かによって無数の設計差異が存在します。公的な登録や部品調達において、車種名だけでは設計上の仕様を特定することが不可能です。
次に「車台番号」は、製造ラインで組み上がった車両1台ごとに打刻される世界で唯一のシリアルナンバー(個別認識番号)です。人間に例えるなら「マイナンバー」や「指紋」に相当し、物理的に特定の1台を追跡・識別するために用いられます。盗難車の照会やリコール対象の特定にはこの車台番号が不可欠となります。
これに対し「型式」は、同等の設計・諸元を持つグループ全体に与えられる「共通スペックの証明書」です。人間で例えるなら、特定の個人を指す名前ではなく「血液型や遺伝的プロファイルが同一である群」を示す記号といえます。車検証上の同一型式を持つ車両は、基本骨格や搭載エンジン、環境性能が同一規格で作られていることを保証します。