「排気量が大きい車=速くて高性能」「排気量が小さい車=非力だが超低燃費」という図式は、現在の車選びにおいては必ずしも成り立ちません。ここを取り違えて数字だけで判断すると、燃費悪化や走行ストレスによって大きな金銭的・心理的損失を被ることになります。そのメカニズムを紐解くには、「馬力」と「トルク」の根本的な違いを整理しなければなりません。
トルクとは、車輪を回すための「瞬間的な力(回転力・押し出す強さ)」であり、坂道発進や荷物を積んだ際の発進加速を左右します。一方の馬力(出力)は、「トルク × 回転数」で表される「仕事の総量(最高速度や高速域での伸び)」です。排気量は本来、トルクの太さに直結します。排気量が大きい車は、エンジンを低回転で静かに回していても豊かなトルクが発生するため、アクセルを深く踏み込まずともスムーズに加速できます。
しかし、燃費との関係においては二面性を持っています。大排気量車はシリンダー容積が大きいため、信号待ちのアイドリング中やストップ&ゴーを繰り返す街乗りにおいて、停止しているだけでも大量の燃料をシリンダー内に噴射し続けます。これが「街乗りで大排気量車に乗ると燃費が極端に悪化する」最大の原因です。
一方で、高速道路の長距離巡航では逆転現象が起きるケースがあります。排気量が小さすぎる車の場合、時速100kmを維持するためにエンジンを3,500〜4,000回転近くまで高回転で回し続けなければならず、エンジンが悲鳴を上げて結果的に燃料を過剰に消費します。反対に、排気量2.0L〜2.5Lクラスの車であれば、わずか1,500回転前後の静寂の中で巡航できるため、高速道路走行に限れば大排気量車のほうが実燃費で優れる事例が珍しくありません。