梨のジャム作りにおいて、ほとんどの家庭で生ゴミとして廃棄されているのが「皮」と「芯」です。しかし、植物生理学的に見て、果実が外敵や乾燥から実を守るためにペクチンを最も高密度に蓄えているのは、果肉の中心部ではなく外皮の直下と種子の周囲(芯の部分)です。
梨農家の知恵として受け継がれているのが、この皮と芯をだしパック(お茶パック)に詰め、果肉と一緒に鍋に入れて煮込む技法です。梨2〜3個分の皮と芯をパックに入れ、砂糖をまぶして水分を引き出した果肉の中に沈めて火にかけます。弱中火でコトコトと煮出すことで、不溶性のプロトペクチンが水溶性ペクチンへと加水分解され、煮汁の中に溶け出していきます。
仕上げの直前にパックを取り出して木べらなどで軽く押してエキスを戻せば、市販の粉末ペクチンを別途買い足すことなく、自然で滑らかな極上のとろみを引き出すことができます。さらに、皮の周辺に含まれるポリフェノールや芳香成分が加わることで、透明感のある淡いピンク〜べっ甲色の美しい色彩と、奥行きのある香りが完成します。フードロス削減と品質向上を同時に達成できる、まさに一石二鳥の調理技術です。