WebやSNS上の時短テクニックとして「切ってフリーザーバッグに入れるだけ」という情報が散見されますが、これはプロの調理現場から見れば最も危険な罠です。前述の通り水気が約94%を占める野菜を生のまま凍らせると、水が氷になる際の体積膨張によって植物の細胞壁が物理的に破壊されます。
この壊れた細胞から、解凍と同時に水分(ドリップ)と水溶性のアク成分が一気に溢れ出します。結果として水分が抜けた繊維だけがスポンジ状に残り、あの不快な「スカスカ・ぶよぶよ」食感が生まれるのです。さらに、アクの主成分であるクロロゲン酸などのポリフェノールが濃縮され、強い渋味やえぐみとして舌に残ります。
「生のまま手軽に保存したい」場合であっても、茄子冷凍のアク抜きと水気取りという工程だけは絶対に省略してはなりません。1%濃度の塩水に10分ほど晒して酸化を防ぎつつアクを抜き、キッチンペーパーで水分を限界まで吸い取る――この2分間のひと手間が、解凍後の食材価値を180度変えます。