鉄筋のかぶり厚さを理解する上で最も重要なのが、法律上の絶対遵守義務である「建築基準法施行令第79条」と、建築学会が定める実務標準「JASS5(建築工事標準仕様書・同解説 鉄筋コンクリート工事)」における規定値の違いです。法律が定めているのは構造安全上の「下限値(最小かぶり厚さ)」であり、現場作業で発生し得るバラつきを見越したものではありません。
そこで日本建築学会のJASS5では、現場で必ず生じる作業ズレや型枠のたわみを見越した施工誤差10mmの理由を明確に位置づけ、法律上の最小値に10mmを加算した数値を「設計かぶり厚さ」として定めています。また、土木インフラにおいては土木学会コンクリート標準示方書が準拠され、供用期間100年や塩害環境を前提としたさらに厳格な数値が求められます。
設計図書に「JASS5準拠」と記されているにもかかわらず、現場検査で法規限界ギリギリの数値しか確保できていなければ、それは明らかな施工管理の甘さを示しています。柱梁スラブかぶり厚さ比較を行う際、設計段階の指定値だけでなく、現場で担保されているマージンが何ミリあるかを確認することが極めて重要です。