コンクールには「半紙の部」と「条幅(半切)の部」の2つが設けられており、求められるフィジカルと筆法には決定的な違いがあります。それぞれの特性を理解せずに同じ感覚で挑むと、入賞ラインに届くことは極めて困難です。
半紙の部において必須となるのは、基本点画の精緻な再現力です。一般的なJA書道半紙の部お手本を見ても分かるとおり、始筆(起筆)の角度、送筆における中鋒(ちゅうほう:穂先が線の中心を通る状態)の維持、転折(折れ)の角の強さ、そして止め・払いの抜けの美しさが厳格に採点されます。正方形に近い半紙の中に4文字または2文字を収めるため、上下左右の空きスペースをミリ単位で整える空間構成力が問われます。
一方、縦約136cm×横約35cmの長大な画面に挑むJA書道条幅の部入賞作品では、基礎技術に加えて「全身を使ったダイナミズム」が必須です。机の上で手首だけで書くことは不可能であり、床に紙を広げ、中腰や膝立ちの姿勢で体幹を連動させて書き進める必要があります。文字の配置(行間と字間)、墨の潤渇(じゅんかつ:濃淡とカスレの対比)、そして最後まで息切れしない気配の持続力が評価を左右します。