ローテーターカフ解剖学において、小円筋(teres minor)は棘上筋・棘下筋・肩甲下筋とともに上腕骨頭を関節窩に引きつけ、肩甲上腕関節の動的安定性を保つ中核構造です。まずは、国家試験および臨床アセスメントの土台となる起始・停止と運動作用を整理します。
小円筋の起始は、肩甲骨外側縁の上部2/3(背面)および棘下筋を覆う筋膜に位置します。肩甲下窩や棘下窩のような広い窩ではなく、細長い骨縁部から線維が立ち上がるのが形態的な特徴です。筋線維はそこから外上方へと斜めに走行し、上腕骨大結節の最下部(第3ファセット)および肩関節後面の関節包に停止します。
この解剖学的走行により、小円筋が単独または協調して収縮した際、以下の運動作用が発揮されます。
- 主作用:肩関節外旋(下垂位および外転位における上腕骨の外側回旋)
- 協調作用:肩関節の水平伸展(水平外転)および軽度の内転補助
- 関節安定化:挙動時の上腕骨頭の下方・前方への偏位を防ぎ、関節窩中央に骨頭を押し当てる求心力の保持
肩関節外旋の主動作筋といえば棘下筋が真っ先に挙げられますが、筋電図学的解析(EMG研究)によると、肩関節が90度外転したポジションでの外旋動作(投球動作のコッキングフェーズなど)においては、小円筋の活動比率が棘下筋を上回るケースが報告されています。下垂位外旋では棘下筋と小円筋が約8対2から7対3のトルク比で協調しますが、腕の位置によって筋線維の牽引角度が変化し、小円筋のメカニカル・アドバンテージが高まる点は運動器リハビリテーションにおいて見逃せない事実です。