童謡『なべなべそこぬけ』の基本形として広く認知されているのは、極めて平易なひらがなで構成された次のフレーズです。
「なべなべ そこぬけ そこがぬけたら かえりましょ」
音楽配信サービスの登録データ(ノノホとコーセイ版や琉神マブヤー版など)を確認しても、作詞・作曲はいずれも「わらべうた」としてクレジットされており、特定の個人の著作物ではなく口承文芸として受け継がれてきたことが分かります。しかし、多くの大人が抱く「この歌には2番があるはずだ」という疑問には、身体動作と連動した明確な理由が存在します。
2人で向かい合って手を繋ぎ、体を反転させて背中合わせになる動作を終えた後、元の向かい合う状態へ戻る必要があります。その復帰動作のために歌われるフレーズこそが、俗に「2番」と呼ばれる歌詞の正体です。地域や歌い手によって以下のような多様なパターンが存在します。
代表的な戻りの歌詞としては、「なべなべ そこぬけ そこがぬけたら もどりましょ」をはじめ、最後を「おもてにかえりましょ」「まわりましょ」と変化させる地域が確認されています。つまり、音楽理論的な「2番」という独立した楽曲構成が存在するのではなく、回転して元に戻る身体運動を完結させるための必然的な返し歌として派生した表現といえます。