島武意海岸の観光におけるハイライトの一つが、駐車場から展望台へと続く「島武意海岸トンネル」の存在です。全長約30メートルほどの素掘りトンネルは、かつて明治時代に海岸で水揚げされた鰊を陸上へと運び上げるために、人の手で掘り進められた歴史的な遺構です。大人ひとりがようやくすれ違えるほどの狭さと薄暗さがあり、ひんやりとした空気が漂います。
暗闇の中を手探りで進み、出口の光に向かって歩みを進めると、視界が一気に開けて息をのむほど鮮烈な青の世界が飛び込んできます。このドラマチックなコントラストこそが、島武意海岸が多くの人々を惹きつけてやまない最大の理由です。
この「積丹ブルー」と呼ばれる神秘的な青さには、明確な自然科学的理由があります。第一に、積丹半島の海はプランクトンが極めて少なく、驚異的な透明度を誇る点です。第二に、海底に広がる火山性の岩盤と、そこに生息するウニなどの海洋生物が海藻を食べ尽くす「磯焼け」に近い状態が保たれているため、太陽光が海底の岩礁に反射し、澄み切った青やエメラルドグリーンの光彩を放つのです。