旧金丸座の客席は、現代の劇場のリクライニングシートとは全く異なる伝統的な構造になっています。席種ごとの視界や特徴を把握しておくことが、満足度の高い観劇体験につながります。
舞台の正面に広がる1階の平場枡席(ひらばますせき)は、木枠で格子状に仕切られたスペースに座布団を敷いて座るスタイルです。通常、ひとつの枡に4〜5人が座るため足元はコンパクトですが、舞台や花道との距離が極めて近く、役者の視線や息遣い、飛び散る汗まで肉眼ではっきりと捉えられます。花道すぐ横の枡席では、役者が真横を駆け抜ける際の風圧すら体感できます。
一方、2階席(正面・東西の桟敷席)は、小屋全体を見渡せるパノラマビューが魅力です。舞台上の芝居だけでなく、1階の客席が役者の見得に沸く様子や、天井のブドウ棚から降り注ぐ紙吹雪の軌跡まで、芝居小屋全体の熱気を俯瞰して楽しむことができます。どちらの席であっても、現代の大劇場に比べ圧倒的に舞台と客席の距離が近いため、「ハズレ席がない」と言われるのも旧金丸座の特徴です。