学問的栄誉の頂点にありながら、佐々木氏の歩みは常に激しい論争とともにありました。科学史家・佐々木力とはどのような人物なのか?東大教授時代の功績から話題となった発言の真相、気になる経歴や著書の評価まで詳しく深掘りしていくと、アカデミズムの内幕に妥協しなかった過激なまでの誠実さが浮かび上がります。
氏は自らをマルクス主義者、とりわけ第四インターナショナルに連なるトロツキズムの共鳴者と位置づけ、政治的・思想的な発言をためらいませんでした。2004年に強行された国立大学の法人化政策に対しては、「学問の自由と大学自治の解体につながる」として先頭に立って反対運動を展開。学内の意思決定の不透明さや研究不正、文部行政の追従姿勢に対しても、実名を挙げて容赦のない舌鋒を浴びせました。
こうした妥協を排した姿勢は、学内外で賛否両論の苛烈な評判を巻き起こすことになります。「知性への誠実さを貫いた孤高の闘士」と称賛される一方で、「組織の調和を乱す急進派」として煙たがる勢力も存在しました。2010年に東大を定年前に退職した背景には、大学の変質に対する深い失望と、自由な知の空間を学外に求めようとした葛藤があったと伝えられています。