二人の共演歴が多くの視聴者の記憶に残り続ける最大の理由は、役柄の深度がステップアップしていった点にあります。
1. 映画『君に届け』(2010年):不朽の爽やかさと純度の高い演技
椎名軽穂氏の人気少女漫画を実写化した『君に届け』で、三浦春馬さんは「爽やかさの権化」とも言えるクラスの人気者・風早翔太を演じ、多部未華子さんは長い黒髪と内向的な性格から「貞子」とあだ名される黒沼爽子を演じました。当時20歳の三浦さんと21歳の多部さんは、互いの繊細な視線の揺れや言葉の間の取り方によって、観客に「風早と爽子が実在している」と確信させるほどの圧倒的な説得力を提示しました。
2. ドラマ『僕のいた時間』(2014年):命を賭して紡いだ拓人とメグの絆
フジテレビ系で放送された『僕のいた時間』は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症した青年・澤田拓人と、彼をひたむきに愛し続ける本郷恵(メグ)の過酷な運命を描いたヒューマンドラマです。本作は三浦春馬さん自身が「命を題材にしたドラマをやりたい」とプロデューサーに持ちかけた渾身の企画でした。その際、相手役のヒロインとして多部未華子さんの名前が挙がったことは、三浦さんが多部さんの演技力と人間性に絶大な信頼を寄せていた証左です。病状の進行に伴う絶望、葛藤、そして生きる覚悟を演じ切った二人の芝居は、放送後も「僕のいた時間 ドラマ 感想」としてSNSやレビューサイトで絶賛され続けています。
3. 映画『アイネクライネナハトムジーク』(2019年):10年の歳月が結実した日常の愛
伊坂幸太郎氏の連作短編集を今泉力哉監督が映画化した本作で、二人は劇中で交際10年目を迎えるカップル・佐藤と紗季を好演しました。特別なドラマチックな事件が起きるわけではない日常の中で、「劇的な出会いとは何か」「この人と出会えてよかったと思える瞬間とは何か」を静かに問いかける演技は、まさに20代の終わりを迎えた二人にしか出せない熟成された味わいでした。