ここで疑問が浮かぶ。公共放送であるNHKの生中継では、企業の商標や商品名を画面上で宣伝することが基本的に禁止されているはずだ。では、なぜ広告・マーケティング業のプロたちは懸賞旗を強力なメディアとして評価するのか。
NHKの放送中、懸賞幕に書かれた文字自体はカメラの引きの映像や角度によって絶妙に映り込む。意図的なタイアップ放送ではないため、背景の景色として自然に画面に入るのだ。さらに近年、ネット配信のABEMAが大相撲の全取組をスタイリッシュな演出でマルチデバイス生中継するようになったことで、若い層へのリーチが爆発的に拡大した。SNS時代において、土俵上の名場面や感動的な勝利の瞬間が動画クリップとしてX(旧Twitter)やTikTokで拡散される際、そこには必ず懸賞旗が背景としてクッキリ映り込んでいる。これこそが、現代のスポンサーが狙う「デジタル波及効果」に他ならない。