彼女の名を世界的なものにしたのは、青山真治監督の手による長編大作『EUREKA(ユリイカ)』である。バスジャック事件のトラウマを抱え、言葉を失った少女・沢井梢役を演じた彼女の佇まいは、観る者の心を揺さぶらずにはいられなかった。台詞がほとんどない役柄でありながら、その表情の微細な変化だけで人間の傷つきやすさと再生への祈りを表現し切った。
この作品は第53回カンヌ国際映画祭に出品され、国際批評家連盟賞を受賞。世界中の映画人やジャーナリストが、弱冠13歳から14歳にかけてこの難役に挑んだ日本の若き女優に賛辞を惜しまなかった。青山監督は後年、彼女の存在感について「カメラが彼女を捉えた瞬間、画面に特別な空気が宿る」と振り返っている。過酷なロケ現場でも、彼女は役柄の重圧に押し潰されることなく自然体で撮影を乗り切った。