抜毛衝動の背後にある「歪んだ思考のクセ」にアプローチするのが、近代心理療法の父アーロン・ベックが確立した認知療法の系譜だ。ベックの理論では、人間がストレス状況下で抱く自動思考(とっさに浮かぶ思考)が感情や行動を支配すると捉える。
「完璧に仕事をこなさなければならない」「失敗したらすべて終わりだ」といった極端な思考の偏りが慢性的なストレスを生み、その出口として抜毛行為が誘発される。臨床現場で高い効果を上げている認知行動療法(CBT)では、どのような状況や感情の時に手が伸びるのかをセルフモニタリングし、歪んだ思考を捉え直すトレーニングを行う。思考の根っこを解きほぐすことが、行動の制御につながる。