一般の学生宿舎をイメージして足を踏み入れると、誰もが思考停止に陥る。廊下には年代物の書籍や楽器、分解された電化製品がうずたかく積まれ、共用スペースでは学生たちが夜を徹して議論を交わす。YouTubeなどのプラットフォームでは、過激なビジュアルや混沌とした寮内の様子を切り取った動画が数百万回再生を記録し、国内外から熱い視線を集めている。
このカオスを維持している根幹が、徹底された自治の仕組みだ。寮における意思決定は、管理者ではなく学生自身によって構成される組織が主導する。家賃にあたる寄宿料は月額数百円という信じがたい設定が維持されてきた。入寮選考も大学側ではなく寮生自身が行い、経済的困窮者や多様な背景を持つ人々を受け入れてきた歴史がある。すべての議題は全寮生による議論で決定され、時には一晩中話し合いが続くこともあるという。この妥協のない集団意思決定こそが、部外者から見れば異様であり、同時に熱狂的な魅力を放つ源泉となっている。