アニメの実写化において常に焦点となるのが「原作者の意向」です。この点において、新海誠監督は非常にオープンで一貫したプロフェッショナルなスタンスを取り続けています。
新海監督は過去のインタビューや公式イベントにおいて、実写化に対する自身の心境を次のように語っています。
「自分の映画は、完成して世に出た時点でもう観客のものです。ハリウッドの実写版についても、自分の手から離れた子どもがどう育っていくのかを見るような気持ちで、一人の観客として純粋に楽しみにしています。日本のオリジナルをそのままなぞるのではなく、彼らなりの新しい素晴らしい映画にしてほしい」
このように、原作の完全再現をスタジオに強要するのではなく、ハリウッド映画としての自立を促す姿勢を示しています。東宝のプロデューサー陣も「新海監督の作家性を尊重しつつ、ハリウッドのトップランナーが作る新しいエンターテインメントを支援する」という共通認識を持っています。
一方、ネット上の反応は期待と不安が入り混じった複雑な様相を呈しています。
- 期待派の声:「J・J・エイブラムスのプロデュース力と最新のVFXで描かれる彗星落下のシーンは大スクリーンで見たい」「『ラーヤと龍の王国』の監督なら美しい映像詩を描いてくれるはず」というクリエイティブ面への信頼。
- 慎重・懸念派の声:「過去の日本アニメ実写化における失敗事例が頭をよぎる」「RADWIMPSの劇伴音楽と新海監督の美麗な背景美術があってこその『君の名は。』ではないか」という、原作への強い愛着から来る懸念。
日米の映画コミュニティでは、「原作のトレースではなく、ハリウッドならではのエモーショナルなSFドラマとして成立するかどうか」が評価の分水嶺になると冷静に分析されています。