『八重の桜』のストーリーは、幕末の動乱から明治・大正・昭和初期に及ぶ、日本の近代化の激動そのものを投影しています。
物語の前半は、会津藩の砲術師範の家に生まれた八重の成長と、幕末の政治抗争が中心となります。京都守護職を拝命した藩主・松平容保に従い、兄・覚馬らが京へ上る一方、八重は会津で最新の洋式銃術を学びます。しかし、鳥羽・伏見の戦いを経て会津藩は「朝敵」の汚名を着せられ、戊辰戦争の最大の激戦地となる会津戦争へと突入していきます。
新政府軍が城下に迫る中、八重は断髪して男装し、最新鋭のスペンサー銃を手に鶴ヶ城に籠城。夜襲部隊を率いて敵陣に銃撃を加えるなど、鬼神のごとき活躍を見せます。しかし、白虎隊の自刃や中野竹子ら婦女子の討ち死に、そして山本家の悲劇など、凄惨を極めた籠城戦の末に鶴ヶ城は開城。八重はすべてを失い、故郷を追われることになります。
物語の後半では、生き残った八重が京都で盲目・肢体不自由となりながらも京都府顧問として活躍していた兄・覚馬のもとへ身を寄せ、再起を図ります。そこで八重はアメリカから帰国した新島襄と運命の出会いを果たします。
キリスト教の洗礼を受け、襄と結婚した八重は、周囲からの激しい保守的偏見やキリスト教排斥運動に晒されながらも、同志社英学校(現・同志社大学)および同志社女学校の創設・発展を陰日向に支え続けます。「悪妻」「鵺(ぬえ)」と誹謗中傷されながらも、洋装で夫と肩を並べて人力車に乗り、自らの信念を曲げない八重の姿は、まさに時代を先取りした「ハンサム・ウーマン」そのものでした。
最終回に向けて描かれるのは、最愛の夫・襄の早すぎる病死を乗り越えた八重の晩年です。八重は日本赤十字社の篤志看護婦として日清戦争・日露戦争に従軍し、敵味方の区別なく負傷兵の救護に尽力。昭和7年、86歳で穏やかに息を引き取るまで、誰かのために生き抜いた誇り高き生涯が描かれます。