欧米の映画やドラマでは、生ブロッコリーにディップをつけて丸かじりするシーンが頻繁に登場します。これに影響を受けた日本のフィットネス愛好家やダイエッターの間で、「酵素を生のまま摂りたい」と生食を試みる動きが一部で見られますが、専門家の見解は慎重です。
シュウ酸の毒性という観点だけで見れば、生のブロッコリーを適量食べたところで直ちに急性中毒を起こすことはありません。しかし、生食の危険性として別の生理学的リスクが潜んでいます。アブラナ科野菜に特有の「ゴイトロゲン(甲状腺腫誘発物質)」と呼ばれる成分が、甲状腺ホルモンを作るヨウ素の取り込みを邪魔する可能性がある点です。さらに、生の強固な植物性細胞壁はヒトの消化酵素では分解しにくく、激しい胃もたれや腹痛、異常な腸内ガス発生の原因になります。
では、具体的にどれくらいの量が適量なのでしょうか。厚生労働省が掲げる「健康日本21」では、成人1日あたりの野菜摂取目標量を350g(うち緑黄色野菜120g以上)と設定しています。この基準に照らし合わせると、食べ過ぎの目安と適正摂取量は以下のようになります。
成人が1日に食べるブロッコリーの適量は、1日あたり100〜150g(小房で5〜7個、おおよそ1/2株)です。減量中のボディビルダーが極端な食事管理として1日に2〜3株(500〜800g以上)を毎日胃袋に流し込むような生活を数ヶ月続けた場合、シュウ酸の蓄積だけでなく、食物繊維の過剰摂取によるミネラル吸収不全や甲状腺機能への悪影響が現実味を帯びてきます。いかにスーパーフードであっても、単一品目の過度な集中食いは避けるのが鉄則です。