位ヶ原山荘をベースとする山行では、乗鞍岳の登山ルートの選択と気象変化の予測が命運を分けます。一般的な無雪期であれば、位ヶ原山荘から肩の小屋を経て乗鞍岳最高峰・剣ヶ峰(標高3,026m)へ至るコースは、比較的明瞭な登山道が整備されています。
しかし、位ヶ原山荘のバックカントリーや春山登山のフィールドとなる位ヶ原から上部は、広大な大雪原となり、濃霧や吹雪が発生すると瞬時に目印を見失う「ホワイトアウト」の危険地帯へと変貌します。地形の起伏が緩やかであるため、下山時に誤った尾根や沢筋へ迷い込む遭難事故が過去にも発生しています。
山行にあたっては、乗鞍岳・位ヶ原山荘周辺の気象情報を細かくチェックし、以下の安全装備と行動基準を徹底することが不可欠です。
- GPS機器と紙地図・コンパスの併用:視界不良時でも現在地と進行方向を正確に把握できる体制を整える。
- 残雪期用ギアの携行:12本爪アイゼン、前爪付きクランポン、ピッケル、ヘルメットの必携。斜面のクラスト(氷結)に即座に対応する。
- 雪崩ビーコン・ゾンデ棒・ショベルの装備:バックカントリーエリアへ侵入する際は、アバランチギアの携行と操作訓練が必須。