インターネット上の情報や輸入肉のラベル表記において、しばしば混乱を招いているのが「リブアイとリブロースの違い」です。この2つを別部位と誤認しているケースが見受けられますが、実際の精肉規格における関係性は非常にシンプルです。
欧米のカット規格において、リブロース全体から外側の脂身や「カブリ」部分を取り外し、最も肉質が良い中央の「リブ芯」だけを贅沢にトリミングした部位を「リブアイ(Rib eye)」と呼びます。赤身と霜降りのバランスが最も完璧な円形状の部位であるため、アメリカンステーキハウスでは「リブアイステーキ」が最も人気の高い花形メニューとして定着しています。
また、ネット上で散見される「リブロースは脂が多すぎて胃もたれしやすい」という言説にも明確な誤解が含まれています。食肉科学の専門分析によると、黒毛和牛のリブロースに含まれる脂肪酸組成は、体温でサラリと溶ける「オレイン酸(不飽和脂肪酸)」の比率が極めて高く、融点が約20〜25度前後と低いのが特徴です。
胃もたれの原因となるのは肉自体の脂質ではなく、「焼きすぎによって良質な脂が酸化した状態」や「冷えて固まった脂を大量に摂取すること」にあります。正しく火入れを施したリブロースは、口に入れた瞬間に脂がさらりと溶け、肉汁と一体化して喉を通るため、くどさを感じさせません。