ネット上で広く信じられている加工テクニックの中には、科学的見地から見ると危険な誤解がいくつか含まれています。特に注意すべき2つの盲点を解説します。
誤解1:「スチームアイロンなら何度でも傷まない」
「水分を含んだスチームならファイバーが痛まない」という俗説がありますが、これは半分正しく半分間違いです。湿熱(蒸気)は乾熱(ドライヤーや乾式アイロン)よりも熱伝導率が極めて高いため、同一温度であっても繊維の深部まで一瞬で熱が伝わります。そのため、スチームを当てすぎると耐熱ファイバーであっても一気に融点を超え、チリチリになるスピードが早まります。スチームを使用する際は、常に吹き出し口を動かし続け、1箇所に2秒以上留めてはなりません。
誤解2:「チリチリになったらもう捨てなければならない」
軽度のチリつきであれば、実は再生可能です。これがウィッグストレート戻し方の応用技術です。チリチリになった毛束にシリコンスプレー(または薄めた柔軟剤)を吹きかけ、目の細かい金属製コームで慎重に絡まりを解きます。その後、110℃〜120℃前後に設定したストレートアイロンで、テンションをかけながらゆっくりと熱を通すことで、伸びきった繊維の表面を再平滑化できます。